特殊詐欺被害状況


警察庁公表値


 警察庁の特殊詐欺専用Webサイトでは、2021年(令和3年)の特殊詐欺の被害結果を公表しています。

認知件数合計:14,461件

合計被害額:278億959万7千円

詐欺手口(被害規模の大きい順):オレオレ詐欺、預貯金詐欺、架空料金請求詐欺、還付金詐欺、融資保証金詐欺、キャッシュカード盗詐欺


今後の動向


高齢者の特殊詐欺被害リスクが増大


・WTO(世界保健機構)では65歳以上を高齢者し、日本国内の医療制度では65歳以上75歳未満を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と規定

・日本の人口推移予測によると、総人口は、2050年には9,515万人となり、約3,300万人(約25.5%)減少。

・高齢人口が約1,200万人増加するのに対し、生産年齢人口は約3,500万人、若年人口は約 900万人減少。

・その結果、高齢化率は約20%から約40%に上昇


手口の高度化


 特殊詐欺は、警察庁のHPで新たな手口の詐欺として記載されているように、(1).家庭の固定電話への通話(2).家庭への訪問(3). ケータイ電話向けSMSやはがきがきっかけで発生します。

 

 (1)では、オレオレ詐欺の被害額が最大であり、親族、警察官、弁護士等を装い、親族が起こした事件・事故に対する示談金等を名目に金銭等を騙し(脅し)取ります。また、警察官などと偽って電話をかけ「キャッシュカード(銀行口座)が不正に利用されている」「預金を保護する手続をする」などとして、嘘の手続きを説明した上で、キャッシュカードをすり替えるなどして盗み取るキャッシュカード詐欺盗も発生しています。さらに、自治体、税務署、年金事務所の職員などと名乗り、医療費・保険料の過払い金や、一部未払いの年金があるなど、お金を受け取れるという内容の電話をかけてきます。被害者が犯人の指示通りにATMを操作すると、実際には犯人側の口座にお金が振り込まれるという還付金詐欺も発生しています

 

 (2)では、県や市区町村などの自治体や税務署の職員などと名乗り、医療費などの払い戻しがあるからと、キャッシュカードの確認や取替の必要があるなどの口実で自宅を訪れ、キャッシュカードを騙し取る預貯金詐欺が発生しています。

 

 (3)では、インターネットサイト事業者などを名乗る犯人から、インターネットの未納料金が発生しているなどの名目で、携帯電話にショートメッセージ(SMS)が送られたり、法務省や裁判所などの名称で自宅にはがきが送付されることにより、実際には使用していない料金を支払わせようとする架空料金請求詐欺「無担保、低金利、保証人不要で融資可能」などと書かれたはがきやSMSが突然届き、大手企業のロゴが記載されているため、軽い気持ちで電話してしまい、騙される融資保証金詐欺が発生しています。


なりすましに対する音声認識の限界


 なりすまし行為を未然に防ぐための個人認証技術は、最新のスマートフォンでも顔や指紋や静脈等の生体情報が採用されています。

 

 一方、個人の生体情報の一つである音声は、声帯模写等で第3者が比較的容易に真似ができるため個人認証技術として採用されていません。そのため、オレオレ詐欺等の(1)家庭の固定電話への着信がトリガーとなる特殊詐欺では、電話先の詐欺犯が高齢者の家族になりすまし、高齢者は詐欺犯と自分の子供の音声を区別することはできません。